第14回読書会のご案内

今年度後半は、シャンドール・フェレンツィについて理解を深めます。精神分析理論の歴史において長い間無視されてきたフェレンツィの思想は、近年ではトラウマ治療に対する価値ゆえに再評価されています。フロイトは初期にはトラウマの原因を外的な出来事に求める外傷論の立場を取っていましたが、患者の外傷記憶の真実性を疑い、外傷論の立場を捨て、欲動論、つまりそれらの記憶を患者の内的世界を表した空想として捉える立場へ移行して行きました。フェレンツィはフロイトが捨ててしまった外的事実の重要性を探求し続け独自の理論を築き上げました。身体的・心理的・性的暴力を受けた子供の中にはどのような心の動きが生まれ、それらは子供によってどのように表現されるのか、またそれらの表現を受け止める大人やセラピスト側にはどのような逆転移反応が起きてくるのか、今年度のテーマである「暴力」について、フェレンツィを通じて考えてゆきます。

まずは入口としてフェレンツィの『臨床日記』の訳者でもある森茂起氏の以下の論文から読み進めます。

森茂起 著「ナイルの水源の再発見―外傷臨床に精神分析的視点を生かす」

日時:2024年10月25日(金)20:00-21:30 
場所:オンライン(Zoom)
参加資格:当学会会員(会員種別は問いません)
参加費:無料
申し込み:こちらのフォームからお申し込みください